世界の「eスポーツ」ゲームいくつ言えるかな? いま熱い競技シーンから、eスポーツの条件を考えてみる

 2022年アジア競技大会での正式種目採用が報じられ、日本のテレビ番組で何度も取り上げられるなど、これまで以上に国内での知名度の高まりを感じる「eスポーツ」

(画像は「闘会議2018」公式サイトのスクリーンショット)

 1月末には1回目となる「EVO Japan 2018」が開催、今週末には「闘会議2018」が開かれ、合わせて国内の制度や組織も大きく変化しつつある。
 良くも悪くも、eスポーツは過去に類を見ないほど日本国内で取り沙汰されている現状だ。

 だが一口に「eスポーツ」と言われても、そもそもeスポーツではどういったゲームタイトルで競技シーンが発生しているのか。
 「プロゲーマーが難易度の高いゲームをプレイしている」、「海外では高額な賞金が出ている」という認識は広まりつつあるが、実際のプロシーンではどのようなタイトルが動いているのだろうか?

 そこで今回の記事では、有志による賞金額ランキングサイト「e-Sports Earnings」の2018年2月時点のデータを参考に、世界でeスポーツとして盛り上がっているタイトルをチェックしてみたい。

 もちろん、賞金額はeスポーツタイトルの注目度を測る1つの基準でしかないが、プレイヤーのみならずそのタイトルを生業とする人口に深くかかわっているため、メジャータイトルを知るための指標の1つになりえると言えるだろう。
 また、この記事では賞金額ランキングの上位ではないタイトルに関しても補足していく。

文/Sawako Yamaguchi
編集/ishigenn

※以下、併記している「e-Sports Earnings」のデータは、各タイトルがサービス開始(ベータテスト含む)されてから2018年2月8日までの時点で実施された大会をもとに算出されています。また、同サイトでは1998年以降の大会情報を収集しています。


 『Call of Duty: Infinite Warfare 』

(画像はSteam | Call of Duty: Infinite Warfareより)

賞金総額:415万1666.26ドル(13位)
参加プレイヤー数:314人
トーナメント数:75大会
リリース時期:2016年
ジャンル:FPS

 戦争をテーマとしたFPSとして、2003年の第一作リリース以来、絶大な人気を誇るシリーズ『Call of Duty』
 第二次世界大戦や冷戦期の特殊部隊など、タイトル毎にさまざまな舞台を扱っており、一兵士として仲間の兵士たちと細かな演出で描き出された戦場を戦い抜く本作は根強いファンが多い。
 特に2007年にリリースされ、現代戦を取り扱った『Call of Duty 4: Modern Warfare』以降は、マルチゲームの人気が爆発的に高まり、大きな大会でも採用されるタイトルとなっていった。
 最新作である『Call of Duty: Infinite Warfare』においては舞台は宇宙にまで広がっており、超人的な機動力を持ったプレイヤー同士がさまざまなシチュエーションで戦いを繰り広げている。

 なお過去作も同様に大会が実施されており、「e-Sports Earnings」では14位『Call of Duty: Black Ops III』19位『Call of Duty: Advanced Warfare』がランクインしている。

『Halo 5: Guardians』

(画像はMicrosoft Store | Halo 5より)

賞金総額:518万8480.97ドル(11位)
参加プレイヤー数:205人
トーナメント数:58大会
リリース時期:2015年
ジャンル:FPS

 『Halo』シリーズはXboxでもっとも成功したFPSタイトル。ゲームそのものを知らなくとも、Xboxのアイコンとしてパワードスーツ姿のマスターチーフの姿を知っている人もいるだろう。
 そのシリーズ最新作が『Halo 5: Guardians』である。

 シリーズ当初から宇宙を舞台とした広大な世界を扱っていることから、キャラクターの身体能力や戦場の広大さはかなりものもので、対人戦モードでは広大な戦場を縦横無尽に移動する乗り物で敵を強襲し、通常なら踏破困難な難地形を飛び越え射撃戦を繰り広げることができる。

 なおシリーズ作品としては、『Halo 2』28位『Halo 3』24位に位置づけている。

『Overwatch』

(画像は『Overwatch』公式サイトより)

賞金総額:541万6647.38ドル(10位)
参加プレイヤー数:529人
トーナメント数:2091大会
リリース時期:2016年
ジャンル:FPS

 ブリザード・エンターテイメントによるシューティング・アクションゲーム『Overwatch』
 インターフェースはFPS形式で、カートゥーン調のグラフィックに仕立てられた個性の強いキャラクターたちが、チームを組んでミッション形式の対戦を行う。人間と自律機械の対立により荒廃しかけた近未来を舞台としており、各キャラクターの短編アニメーションやオリジン・ストーリーなどの周辺コンテンツの充実も人気要因の一つだ。

 ベータテスト時からほかのシュータータイトルで実績のある有名プロプレイヤーがこぞってプレイ映像を配信をしたこともあり、正式リリース前よりeスポーツタイトルとしての期待が高まっていた。

 そして正式リリースから1年超が経過した2017年12月より、いよいよブリザード・エンターテイメント公認のフランチャイズリーグ「Overwatch League」(OWL)がスタートしている。
 世界各都市の名を冠した12のフランチャイズチームが、1シーズン(約半年間)にわたって戦う公式のトッププロリーグである「OWL」には、多くの企業もスポンサーとして名を連ねており、eスポーツとしての注目度は非常に高い。

【解説:シューター(FPS/TPS)】

 

 一人称視点(FPS)、あるいは三人称視点(TPS)で、ひとつのマップを舞台として銃などで撃ち合う対人戦ジャンルは総じてシューターと呼ばれる。

 

 eスポーツタイトルでは、チーム戦が主なルール。敵チームの殲滅や目標の確保、人質救出、一定時間の生存など、定められた勝利条件を(先に)満たしたチームが勝利する。こうしたルールは敵チームとの争いを促進し、複雑な戦略性をゲームにもたらす。
 プレイヤーたちは操作するキャラクター目線か背後からの限られた視界しかないため、限定された情報をもとに戦うことになるが、そんな状態でもプロ選手であればスーパープレイを繰り出し観客を沸かせることも。
 タイトルによっては、マップ全体を俯瞰視点で眺めて観戦することもあるため、スリルあふれる試合展開を楽しめるのがシューターの醍醐味だ。

『Hearthstone』

(画像は『Hearthstone』公式サイトより)

賞金総額:1147万2537.61ドル(6位)
参加プレイヤー数:1580人
トーナメント数:676大会
リリース時期:2014年
ジャンル:CCG/TCG

 アナログの競技カードゲームには長い歴史があるが、デジタルのみで大きな競技シーンを築いているタイトルといえば、真っ先に上がるゲームが『Hearthstone』(ハースストーン)だ。リリース前のベータテスト期より盛んに大会が行われており、プロプレイヤーの中には『Magic: The Gathering』やポーカーのシーンで大きな業績を上げた古強者も存在している。

 本作はブリザード・エンターテイメントの人気IPである『Warcraft』の世界観で展開されており、またたく間にファン層が広まった。F2P(Free to Play :基本無料)タイトルであることや、「Battle.net」のアカウントにより複数のデバイスから遊べること、ゲームとして観戦や対戦を前提としたUIや表現により、eスポーツとしての地位を固めている。

【解説:カードゲーム(CCG/TCG)【※】


 ほかにもデジタルカードゲームとしては、RPG『The Witcher』シリーズのキャラクターたちが登場する『Gwent』(69位、32万ドル)も、2017年正式リリースの新しいタイトルながら健闘している。
 人気MOBA『Dota 2』のIPを使ったCCGとして、Valve社が2018年リリースを予告している『Artifact』も、詳細は不明ながらeスポーツタイトルとして期待されているようだ。
 このように海外のデジタルカードゲームでは、ほかのゲームで培ったIPが投入されて豊かな世界を展開するものが人気を博している。

 

※日本ではカードゲームをTCG(Trading Card Game)と呼ぶが、英語圏では一般にCCG(Collectible Card Game)と呼ばれている。

『StarCraft II』

(画像は『StarCraft II』公式サイトより)

賞金総額:2531万9366.06ドル(4位)
参加プレイヤー数:1740人
トーナメント数:4712大会
リリース時期:2010年
ジャンル:RTS

 RTSジャンルのタイトルで現在でも大きな存在感を放っているのが『StarCraft II』。ブリザード・エンターテイメントによる長期間の手厚いバランス調整により、2010年のリリース以降、現在に至るまで根強い人気を誇る。
 前作である『StarCraft』を含めると、20年間にわたって多くのファンと観客を魅了し続けているシリーズだ。
 特に韓国では大規模な賞金リーグ・大会が行われており、多くの有力プレイヤーが輩出された。現在はほかのタイトルの隆盛にともなって競技シーンの規模が縮小しているが、根強いファンがシーンを支え続けている(なお『StarCraft: Blood War』賞金総額ランキング9位)。

 対戦形式としては1対1がメインとなっており、長所の異なる3種族からプレイヤーは1つを選択する。資源採掘を行って生産施設や攻撃・防御ユニットを配置し、マップ上で敵プレイヤー操る勢力と戦争を繰り広げるというやり取りをリアルタイムで繰り広げるゲームだ。
 敵の建物を壊滅させることが勝利条件だが、勝ち目がないと悟ったプレイヤーが降伏することも多い。
 制限の中で効率よく建築や生産を行い、敵の攻勢に対応していくことが必要なため、プロプレイヤーの試合では互いが操る種族の理解度や、柔軟かつ高密度な思考、操作の的確さと多さが問われる。画面の中では地上ユニットや空中ユニットがぶつかり合い、派手な戦闘が繰り広げられる。

【解説:RTS】


 FPSと同様にPCゲームとして90年代後半に大きく普及したジャンルの一つ、リアルタイムストラテジー(RTS)もeスポーツタイトルのひとつとして根強い人気を誇っている。

 シューターと並んでeスポーツとしての歴史が長いジャンルだが、ゲームを理解していないと勝利条件や試合のターニングポイントがわからないことも多いため、タイトルにもよるが「観戦専」が発生しづらい面も持ち合わせている。

 

 eスポーツタイトルとしてはブリザード・エンターテイメントによる『Warcraft』シリーズの最新作(とはいっても2002年発売である)となる『Warcraft III』を用いて、現在もプロリーグや賞金大会が開催されている(賞金総額499万ドル、12位)
 『Warcraft』は剣と魔法のファンタジー世界を舞台としたRTSシリーズで、宇宙を舞台にしたSF世界の『StarCraft』シリーズは姉妹作に当たり、両作を行き来しているプロプレイヤーも存在する。

『Counter-Strike: Global Offensive』

(画像はSteam | CounterStrike: Global Offensiveより)

賞金総額:4761万3953.44ドル(3位)
参加プレイヤー数:9211人
トーナメント数:3031大会
リリース時期:2012年
ジャンル:FPS

 近年主流になっているeスポーツタイトルの中では発売から5年以上と、比較的ロングランを続けているためか過去の大会数やプロプレイヤー数も非常に多いのがこのFPS『Counter-Strike: Global Offensive』(CS:GO)だ。
 さまざまな大規模賞金大会で種目として採用されており、『CS:GO』部門を抱えるプロゲーミング組織が世界中に存在する。なお過去作としては、初代『Counter-Strike』が7位に位置づけている。

 もともと「特殊部隊 vs テロリスト」という設定が用いられていることから、爆弾解除(テロリストチームであれば設置)もしくは互いの殲滅を先に達成したチームが勝利する。
 シリーズの源流となったMODが1999年リリースと20年近い歴史を誇るため、マップごとの定石的な動きが発達しているが、もちろん反応速度も重要であり、プロの華麗なプレイから思いもよらぬハプニングまでスリリングな試合展開が魅力のタイトルだ。

『League of Legends』

(画像は『League of Legends』公式サイトより)

賞金総額:4950万1718.80ドル(2位)
参加プレイヤー数:5224人
トーナメント数:1975大会
リリース時期:2009年(ベータ版)
ジャンル:MOBA

 『League of Legends』(LoL)は、世界でもっともプレイ人口が多いとされるeスポーツタイトルで、2016年3月より日本でもサービスが運営中。『Dota 2』と並び立つMOBAジャンルの雄であり、アフリカ・中東・インドなど一部地域をのぞく世界中にサーバーが展開されている。

 各地域で運営される公認トップリーグは世界大会への道となっており、これに参加していることが事実上のプロ認定となる。
 2011年以降毎年行われてきた世界大会では、2016年よりクラウドファンディング型賞金制が採用され、総賞金額を大きく伸ばすこととなった。

 後述でも解説するが『Defense of the Ancients』の派生から生まれたタイトルであり、1チーム5人のプレイヤーがキャラクター(作中ではチャンピオン)を操って互いの本拠地破壊を目指すというルールは『Dota 2』などと共通している。
 開発運営方針として「Player Experience First」(プレイヤーエクスペリエンス第一)を掲げるRiot Gamesは、毎年2回のサイクルでゲームシステムの一部に大きな変更を加えることで、ゲームの面白さを新鮮に保とうと試み続けていて、シーンではプロプレイヤーによる新システムへの適応なども大きな注目点となっている。

『Dota 2』

(画像はSteam | Dota 2より)

賞金総額:1億3308万4761.24ドル(1位)
参加プレイヤー数:2338人
トーナメント数:882大会
リリース時期:2013年
ジャンル:MOBA

 2018年1月時点までの過去大会賞金総額1億3千万ドル超。年に一度行われる公式世界大会The Internationalは、プレイヤーがゲーム内に設けられる特設コンテンツを購入することで賞金総額が増額される「クラウドファンディング型賞金制」を採用しており、毎年eスポーツ大会の最高額賞金を更新していることで知られているのが、Valve社が開発運営を行う『Dota 2』だ。

 使用可能キャラクター(作中ではヒーロー)は115体におよぶ上に、全てが作成直後のアカウントでも使用できる。キャラクターについては現在でも年に数体のペースで新規追加が行われている。
 キャラクタースキンやMODなどのユーザー制作コンテンツが盛んであり、購入のみならずトレードも可能になっている。

 MOBAタイトルでは、集団戦におけるチームワークや、マップ上のオブジェクトの奪い合いなど、重視するゲーム性がタイトルごとに異なる。試合時間は後者のほうが長くかかる傾向があり、前者に寄ったタイトルのほうが「カジュアル」とされる。『Dota 2』は細かな操作面からマクロ戦術まで、非常に細かく複雑なシステムを持つ「基本無料プレイMOBA」の巨人である。

【解説:MOBA】

 

 「MOBA (Multiplayer Online Battle Arena)」とは、RTSをその源流に持つ新しいジャンルだ。

 

 『Warcraft III』のユーザーによるカスタムモードで作られたタワーディフェンスMOD『Defense of the Ancients』に始まり、さまざまな作成者によるキャラクターやマップデザインの試行錯誤を経て、現在のMOBAに見られるマップ構成をGuinsoo氏が作りあげた。

 

 彼が作り上げたマップと当時のキャラクターを全て取り込んだパッケージが『DotA Allstars』で、『Dota 2』はこの純粋な発展形となっている。Guinsoo氏は『Dota』開発を離れたのちRiot Gamesへ入社し、現在もデザイナーとして『League of Legends (LoL)』 の開発に携わっている。
 コミュニティの最古参にしてもう一人の貢献者であるIceFrog氏はValveへ入社し、『Dota 2』に関わっている。

 

 ひとつのマップを見下ろす多対多の対人戦ゲームが基幹となっており、ひとつの試合では複数のプレイヤーから成るチームが戦い、先に互いの本拠地を破壊したチームが勝利する。1人のプレイヤーにつき1キャラクターのみを操作する点が、多くのユニットを同時に操るRTSとの大きな差異となっている。キャラクターはそれぞれ独自の能力や弱点を持っている上に、マップ上の敵ユニットなどを倒して得られる経験値やゴールドによって成長を行うRPGやMMOのような要素も併せ持っている。
 有利を得るための戦略・戦術やチームワーク、個人の持つ操作技術などが、プレイ中のプレイヤーとほぼ同じ視点から観戦できることが醍醐味。1キャラクターのみの操作であることからアクション性が強くなっていることも多い。

 

 Dotaから生まれたタイトルとして最も大きな成功を収めているのが『Dota 2』と『LoL』だが、『SMITE』『Heroes of the Storm』といったタイトルもそれに次ぐ人気を誇り、『Heroes of the Newerth』といったタイトルも歴史に名を刻んている。

『ストリートファイターV』『スマブラ』

(画像はSteam | ストリートファイターVより)

 ゲームセンター文化の根強い日本では、「プロゲーマー」といえば格闘ゲームジャンルの日本人プレイヤーをパッと思い浮かべる人も多いだろう。
 一画面の中で繰り広げられる丁々発止の駆け引きや、プレイヤーの経験とひらめきから生まれる名プレイが、多くのファンを惹きつけてやまないジャンルでもある。

 代表的なシリーズタイトルのひとつ『ストリートファイターV』賞金総額189万ドルで23位につけており、前作の『ウルトラストリートファイターIV』73万ドルで46位だ。

 また継続的なアップデートによって日々メタゲームが変化してゆくPC向けオンラインゲームがeスポーツタイトルのほとんどを占める中、海外で多くの賞金大会が開かれている『大乱闘スマッシュブラザーズDX』は、継続的なバランス調整のないコンソール機向けパッケージタイトルだが競技性が高く、2001年のリリース以来多くのプロプレイヤーがプレイし続けている(賞金総額248万ドル、20位)
 なお『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』賞金総額117万ドルで34位

『H1Z1』『PUBG』

(画像はSteam | PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDSより)

 シューター系タイトルの中でもここ数年で盛り上がりを見せているのが「バトルロイヤル系シューター」。
 能動的な勝利条件達成が必須なのではなく、マッチングした大人数のプレイヤーたちの中で「最後の一人として生き残ること」が勝利条件となるサブジャンルだ。
 時に隠れ、時には大胆にライバルたちを蹴落としていくプレイの緩急や、俯瞰視点で眺める観戦者独特の視点から人気を集めている。

 アーリーアクセスを経て2016年にリリースされた『H1Z1』はゾンビ化ウィルスによるアポカリプス後の世界を舞台にしたサバイバルシューターで、対人戦を主とした賞金大会が開かれている(賞金総額199万ドル、22位)

 また2017年に彗星のごとく登場した『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUND』はこのジャンルの集大成ともいえるタイトルで、マップとなる島に閉じ込められた100人のプレイヤーの中でただ1人生き残ったプレイヤーが勝者となる。
 迅速なマッチングと明快なルールから、配信直後より多くのプレイヤーを集め続けている。草の根大会から公認リーグ、賞金大会までさまざまな活動が盛り上がっており、新しいeスポーツタイトルのひとつとして大きな期待が集まっている(賞金総額124万ドル、32位)

バトルロワイヤル系ではないもののシューターとしては、現在も開発元のUbisoftが活発にアップデートを行っている『Tom Clancy’s Rainbow Six Siege』(37位、103万ドル)も注目。キャラクターごとの能力差が激しい対人戦シューターとして大規模賞金大会の種目にも採用されている。
(画像はUbiBlog UK|Rainbow Six Siege – Spectator Camより)

『FIFA』『Rocket League』

(画像は『Rocket League』公式サイトより)

 このほか、近年のeスポーツへの注目の高まりに一役買っているのが、スポーツ系タイトルだ。世界各地のトップリーグと契約を結び、実在選手も登場しているサッカーゲーム『FIFA 17』では、実際にプロサッカークラブと契約を結び「サッカーチームのeスポーツ部門所属」になるプロプレイヤーも存在している。暴力表現とは無縁で、かつ実在のクラブにも利益が生じるであろうことから、eスポーツタイトルの中で最も一般層に近いゲームといえるだろう(賞金総額146万ドル、30位)

 『Rocket League』もジャンプやロケットダッシュが可能な車を操ってサッカーを行うゲームで、実在のスポーツにうまく架空の要素を練り込んでオリジナリティを出したスポーツタイトルだ(賞金総額181万ドル、25位)

『キャサリン』『クラッシュ・ロワイヤル』

(画像はアトラス公式サイト|『キャサリン』より)

 ほか、賞金大会は少なくランキング上位には位置していないものの、『ぷよぷよ』、『テトリス』シリーズや、EVOでも近年のサイドトーナメントに採用され続けている『キャサリン』など、ウォッチビリティに優れるパズルゲームジャンルも根強い人気を誇っている。

 日本国内でも大会が開催されはじめている『クラッシュ・ロワイヤル』(賞金総額86万ドル、42位)『ベイングローリー』(賞金総額80万ドル、44位)、またランキングには載っていないものの『王者栄耀』(Arena of Valor)といったモバイルゲームタイトルは人気の高さとともに、PC向けタイトルよりもプレイ環境を整えるハードルが低いeスポーツタイトルとして注目が集まっている。

ただし賞金額や規模だけがeスポーツの条件ではない

 ここまでさまざまなタイトルを挙げてきたが、後半の賞金額ランキングにとらわれない作品の紹介を見れば、「シーンとしては重要なタイトルなのに賞金額はこれぐらいなのか」と思ったeスポーツ好きの読者もいたかもしれない。
 そのとおりで、大会での賞金額の高さはeスポーツタイトルの絶対条件ではない。

 もちろん、冒頭でも述べたように、賞金額が高いということは、購入層であるファンや大会スポンサーの大きさを示唆する、すなわち注目度の高さを示すバロメーターではある。しかし、賞金とは全く縁のない草の根大会で盛り上がっているシーンも確かに存在するのだ。

 では、eスポーツたりえる条件とは、いったい何だろうか。

 筆者は数年間にわたり『League of Legends』を中心にeスポーツを見て情報を発信してきたが、人気eスポーツタイトルの特徴を整理してみると、そこにはeスポーツタイトルとしてシーンが成立しているゲームの持つ特徴として、「ゲーム性」、「ウォッチビリティ」、「カルチャー」、「コミュニティ」の四要素があるのではないかと思う。

1. ゲーム性

 「ゲーム性」とはそのまま、ゲームとしての面白さを指す言葉である。プレイしていて面白いゲームでなければ、観戦が面白いゲームにはならない。

 しかしeスポーツタイトルとして成立するには、このゲーム性の中にも細かな特徴が見られる。

サードパーティー統計サイト「OP.GG」による、北米サーバーのランク戦データ。『LoL』のプロプレイヤーはもれなく最上位の「Challenger」に位置しているが、ランク戦人口の半分ほどは下から2つ目の「Silver」であり、4分の1は最下位層の「Bronze」だ。
(画像はOP.GG|Tierごとの統計 – League of Legendsより)

 まずプレイヤーの技量が反映され、上達する上での学習曲線の上限が高く、上手いプレイヤーが卓越している部分がはっきりと示されることが重要になる。一般プレイヤーに「これを真似してできるようになれば上手くなれる」という観戦インセンティブを与えることにつながるからだ。また、カジュアルマッチからコンペティティブの最高峰まで、プレイヤーの技量にかかわらず広く楽しめることも求められる。

2.ウォッチビリティ

国内のタイトルではあるが、『どうぶつタワーバトル』は「画面内で2人のプレイヤーが動物の画像を積んでいき、ステージからパーツを落としたほうが負け」というシンプルなルールでウォッチビリティが非常に高い。2017年末には大会も開かれた。
(画像はTwitch|2017年開催のRIZeST Gamer’s Base配信アーカイブより)

 「ウォッチビリティ」というのは、観戦する際のゲームの伝わりやすさだ。画面をぱっと見た時に試合進行での優劣がわかりやすく、勝敗結果がはっきりと示されるゲームであれば、観戦そのものが楽しみやすくなる。

 ただし、こうした試合進行がわかりやすいことと、ダイナミックな決着は必ずしも相関しない。
 門外漢が一見しただけではわかりづらいRTSやMOBAの試合であっても、観戦者が手に汗握る展開の末に決着が着く試合はあるし、体力ゲージが大きく示され攻守がわかりやすい格闘ゲームであっても、華やかなぶつかり合いの裏に細かな駆け引きが存在する。

 eスポーツにおいて実況解説を行う「キャスター」が重要視される理由もまた、ゲームの面白さを伝える、ウォッチビリティの一端を担うためである。

3. カルチャー

『LoL』World Championship 2017 決勝戦会場では、ゲーム内キャラクター3体の実物大ブロンズ像が観客を出迎えた。
(画像はリーグ・オブ・レジェンド|Nexus|ブロンズの神々:彫像ができるまでより)

 娯楽として多くの選択肢がある現代では「カルチャー」としての魅力も大きな要因となる。ゲーム画面におけるビジュアル上の適切なリッチさ(これはウォッチビリティにも関わる)から始まり、ゲーム内で流れる音楽やセリフ、世界設定や登場キャラクターにまつわるストーリーは、プレイヤーと観戦者の別なく魅力的なコンテンツとして作用する。

 こういったコンテンツはゲームそのもののファンを増やすだけでなく、コスプレやグッズなどを通してeスポーツの応援文化と一体になり、「ファンを自認すること」の価値を高めてもくれるのだ。

※Dota2公式Twitterアカウントより、2017年開催の「The International 7」ではロバを連れたヒーローが会場に登場。

4. コミュニティ

 そして最後に「コミュニティ」だ。eスポーツにおけるコミュニティとは、直接的なコンテンツの購入層というだけではない。プロプレイヤーから新規プレイヤーまで、ファンから開発会社の社員まで、コミュニティとは、そのタイトルに何らかの接点を持つ全ての人間と言っていい。

 接点の面積は個人によってマチマチで、寝ている時以外はずっとそのタイトルに触れる生活を送っているプロプレイヤー、平日のオフタイムにはカジュアルプレイを楽しみ週末にはeスポーツ観戦を楽しむ一般プレイヤー、プレイに加えてファンアート制作を楽しむ二次創作者など、さまざまな人間がコミュニティには存在している。
 eスポーツタイトルであるかないかにかかわらず、SNSを用いたプロモーションなどの観点から、近年のゲームでは外部コミュニティが非常に重要な存在だ。

『League of Legends』World Championship 2017 決勝戦の舞台となったオリンピック競技場には満杯の観客が詰めかけ、ファンでいっぱいの観客席の上をゲーム内に登場するドラゴンがARで飛ぶ
(画像はリーグ・オブ・レジェンド|Nexus|/dev: Worlds会場にドラゴンを召喚するまでより)

 中でもeスポーツタイトルにとっては、コミュニティというのは直接的な人的資源と言える。端的に言えば「そのタイトルが好き」という熱意を、金銭を支払うだけで芽生えさせることはできない。そのタイトルをプレイして面白いから、見ていても面白いから、ビジュアルやストーリーが好きだから、という感情を直接金銭で買うことはできない。

 そしてeスポーツタイトルの世界には、「好き」から出発した活動がきっかけになってコミュニティ運営を担ったり、開発や運営の側に回ったりする人間が数多くいる。
 eスポーツタイトルには草の根大会からシーンが始まったタイトルが少なくない。「好き」に共感する人々が根底で支えているのが、各タイトルのeスポーツシーンなのだ。

(Photo By Getty Images)

 ここまで、海外で近年盛り上がっているeスポーツタイトルやそれらの特徴について言及してきた。
 ここ2年ほどのeスポーツシーンでは、大企業が賞金大会やプロゲーミング組織との提携を発表したり、大学がeスポーツ奨学金を開設したりといったニュースが増え、eスポーツの社会認知度の高まりを肌で感じることが多い。

 しかしそれと共に、日本国内ではeスポーツという言葉のみが独り歩きしているのではないかという感覚も強まってきている。
 それぞれのゲームタイトルの盛り上がりなくして、eスポーツは成立しえないし、その盛り上がりの形もタイトルごとに異なっている。

 そして各タイトルにおけるeスポーツへの取り組みとは、プレイヤーに健全な競技環境を提供し、究極的にはプレイヤーを喜ばせるためのものなのだから、そこは譲ってはならない点だと筆者は強く感じる。
 楽しいゲームが開発運営され、そのゲームを好むファンやプレイヤーがおり、最高峰のプレイで開発とファンを湧かせるプロプレイヤーがいて、互いが互いを支えながら楽しむ、eスポーツのエコシステム。日本でも「システムとして持続可能なeスポーツの楽しさ」が追求されることを祈っている。

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著者
Sawako Yamaguchi
フィクション・ノンフィクションにかかわらず、ゲームにまつわるストーリーであれば何にでも魅了されてしまう女性ライター。『League of Legends』を追い続けて数年経つが、このところは20歳前後と若々しいプロ選手たちにときめく日々を送っている。好きな食べ物はアイシングでデコレーションされたクッキー。
編集
ニュースから企画まで幅広く執筆予定の編集部デスク。ペーペーのフリーライター時代からゲーム情報サイト「AUTOMATON」の二代目編集長を経て電ファミニコゲーマーにたどり着く。「インディーとか洋ゲーばっかりやってるんでしょ?」とよく言われるが、和ゲーもソシャゲもレトロも楽しくたしなむ雑食派。
Twitter:@ishigenn
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