『モンスターハンター:ワールド』に世界各国から絶賛の声!──早くも現れた2018年Game of the Year候補に対する海外の反応

 2018年最初の超大型タイトルがリリースされた。カプコンから1月26日に発売された『モンスターハンター:ワールド』(以下、『MHW』)である。

 PlayStation 4版のほかに、Xbox One版もプレイできる北米・欧州では、日本に負けないくらいの盛り上がりを見せており、海外ゲームメディアから軒並み高い評価を受けている。

 「海外のレビューは、『MHW』という新たな王者にひざまずいた、という印象ですね。ドイツ、フランス、スペイン、アメリカ、イギリス……誰もが頷いて祝賀する”シリーズのリニューアル”でしょう。早くも2018年のGame of the Yearへ挑むタイトルが出馬しましたね!」と語るのは、スペイン人のゲーム業界通、ガルシア・ルイス氏(現在「Shinyuden」という会社を立ち上げ、日本のゲームをローカライズする仕事に携わるなど精力的に活動中)。

 そうコメントする彼に、電ファミ編集部は数ある海外サイトの『MHW』レビューの中から”自身が個人的に面白いと思ったもの”を5つセレクトしてもらった。
 ここでは、そのレビュー5つをルイスの解説つきでお届けしよう。

取材・文/ガルシア・ルイスShinyuden)、なかJ


(画像は『モンスターハンター:ワールド』プロモーション映像①より)

ドイツ「Computer bild」の評価は「9.6」

 据え置き機よりパソコンに圧倒的な支持が集まるドイツで、ユーザーが最もアテにしているゲームメディアのひとつが、長い歴史を持つ「Computer bild」だ。

 パソコン用のゲームや技術に特化しているこのサイトでは、『MHW』は”ズバ抜けた作品”として取り上げられている。

 ビジュアル的に前作よりキレイに見えるだけではなく、新しい生態の細部までこだわった弱肉強食的なシステムが印象的だ。

 

 新作ではモンスターのデザインも美化され、カプコンは過去に批判された要素を見直し、全般的に受けやすいゲームに仕上げた。

(画像はCOMPUTER BILD SPIELEのスクリーンショット)

 長所としては、『モンハン』シリーズの特徴でもある(初心者にとって高い壁になっていた)“難易度”の再調整、各マップの解放感、モンスターの豊富な種類など。
 ゲームを放置するとモンスター同士が戦う光景を目の当たりにできること、バトル戦略の奥深さ、やる気を出させる報酬制度、広大な行動範囲も大好評。さらに「マルチプレイするにはもってこいのソフトになっている」とつけ加えている。

 一方、吹き替えが未完全で、普段ローカライズに厳しいドイツのユーザーが”リップシンクのズレ”と”主なセリフしかドイツ語に対応していないこと”を残念な点として挙げている。
 また、クエストの短すぎる制限時間や、まれに見えるグラフィックの不具合(クリッピングなど)から、惜しくも満点を逃してはいる。

 とはいえ、「数え切れない長所に比べれば、短所はたいしたことがない」と断言する。
 ちなみにこのサイトは、激ムズの最高ランクのクエストがまだ実装されていないことを不満に思っているものの、驚くことに「追加DLCが予定されていること」に嫌気が差すどころか、期待が高まっているようだ。

赤枠強調は編集部。
(画像はCOMPUTER BILD SPIELEのスクリーンショット)

 点数が1.4と表されているが、決して悪い評価ではない。「1」が満点を意味するスコアシステム※】なので、限りなく満点に近いスコアなのだ。

※ドイツで使われているシステムでは、「1」が最高点数で、10点満点中の「10」を意味し、「2」は10点満点中の「9」、「3」は10点満点中の「8」となる。したがって今回の『MHW』のスコア「1.4」は、10点満点中の「9.6」を表している。

フランス「Gamekult」の評価は「9」

 フランスのゲームメディアの中でもトップをいくサイト「Gamekult」が、『MHW』についてどんな意見を持っているか興味深い。

 ”厳しくて辛口”として知られているこのサイトでは、過去には『FFXV』でも酷評に見舞われるなど、異なる媒体で絶賛された大作といえども比較的低い点数をつけられた事例が少なくないからだ。

 そんな、普段から風潮に流されないスタイルの「Gamekult」の記事は、とても気になるところである。

(画像はGamekultのスクリーンショット)

 そのサイトのレビューが、特別な熱気を帯びている。『MHW』は、マズル(口輪)が外された狂犬にたとえられているのだ。

 よだれが垂れ、目の前にあるあらゆる餌を食べつくす勢いで暴走している。



 野放しにされた餓狼はその勢いのあまり、持ち主がお皿に豪華に盛りつけた餌(過去に発売されたシリーズの全作品)を食い散らかし、突き進む……。

 このような比喩でレビューを執筆したのは、高い文章力を誇るライターのPuyo氏。
 彼は、ハードボイルドで熱狂的なゲーム記者である。『MHW』が、そんなPuyo氏の牙の生贄にならなかったことに安堵する。

 月日をかけて洗練された『モンハン』は進化を遂げ、狩猟という概念を一新する。

 

 その変貌を可能にしたのが、美しい舞台や数々のモンスターの凄まじさと巨大な規模。

 「技術的にも美術的にも優れた本作は、ゲーム性に長けている」と評価し、「過去シリーズより、新しいユーザーを抱え込みたい構えを見せている」と、このレビューでは考察。

 また、“100時間以上”の狩りを保証する1人用のプレイ時間に加え、多様性のある“マルチプレイ”という美味しい特典も強調する。

 ただ、「繰り返しの作業になりがちなクエストと、それなりの高い難度のため、まだまだ全般向けとは言い難いところ」を指摘している。

 とはいえ、このレビューには総じて「『MHW』は、シリーズを今まで否定していたユーザーを“信者”に変える力を秘めている」というメッセージが込められている。

スペイン「MeriStation」の評価は「9」

 毎月200万超のフォロワーに恵まれているスペインの「MeriStation」は、同じくスペイン国内の「3D Juegos」と1、2を争うゲームメディアの老舗である(大手メディア財閥のゲーム部門という顔を持つ)。
 このサイトは、『MHW』を「10点満点中の9点」で評価し、関心を集めている。

 ちなみに、「3D Juegos」も同じ9点をつけて、「カプコンは任務を完了した」という、文句のないような讃え方をしている。

(画像はMeriStation.comのスクリーンショット)

 「MeriStation」のレビューを執筆したSergio氏は、『MHW』に「視覚的に魅了された」とし、昔の出来事と比べている。

 1994年に家庭用の新世代機が到来した時代──ゲームが2Dから3Dへ移行した頃を思い出してほしい。

 

 『MHW』にも、そのような進化でユーザーを驚愕させる力がある。

 いわば『MHW』は、シリーズを今までプレイした人に対して“3Dショック”と同様の衝撃を与えるだろうと解説している。

 これからは、ユーザーに求められている理解や解釈が変わる。歴代『モンハン』で恐れや圧迫感を感じたせいでシリーズの門をくぐれなかったユーザーは、やっと本作『MHW』で歓迎されるのだ。

 

 もともと日本で大ヒットしたゲームは、西洋でも同じヒットを記録できる決意を見せている。

 「今回こそ、カプコンがテーブルクロス引きをキメたかのように、みんなの注目を浴びるときが来た」というニュアンスを感じることができるだろう。

(画像はモンスターハンター:ワールド 公式サイトより)

 ユーザーは心ゆくまで、武器や鎧の改造に夢中になれる。その可能性は無限大。
 武器には新たな能力が備えられているが、動きが滑らか&迅速で、扱いに慣れるのはそう難しくないだろう。

 これはゲーム性に反映され、特にそのゲーム性で過去のシリーズ作品と差をつけている。
 昔のハンターが感じさせた“体の重さ”や“遅い動き”に対して、今作は高フレームレートが提供するような速さで、爽快感を得られるのだ。

 マップも驚くほど膨大になり、広大な世界を走る楽しさがバランスよく調整されているとともに、同じ環境で多彩な生態と、緻密なAIが可能にする(身体的というよりむしろ)精神的な戦闘がすごいと、レビューに綴られている。

 開発チームは誇りを持って、このゲームをリリースできたことを自慢するべきなのだ。

 しかし、キレイなバラにも棘があるように、改善点も述べられている。

 「あまり案内されていないがため、混乱しやすい」と感じられるそうだ。
 また、「カメラがクローズアップ気味なので、過去作のように“縛られている感じ”がする」とレビューにはあるが、これはユーザーによっては共感しない方もいるだろう。

 ほか、「ストーリーは浅いので、記憶に残る物語を描くチャンスが逃されている」というコメントも。

 マルチプレイについては、「スムーズにプレイできるので、シングルプレイの体験とは違う、素晴らしい充実した“特典”である」という。
 ちなみにシングルプレイの場合、「100時間以上楽しめる反面、難易度は高い。でも、腕を磨いてさらなる高みにチャレンジできるだろう。十分に楽しく遊べるはず」ということだ。

 最後に、このレビューでは「単刀直入、優良なゲームである」と宣言している。

アメリカ「IGN」の評価は「9.5」

 アメリカの「IGN」は『MHW』を好評することについて、一瞬も迷わなかった。高得点のレビューで、「『MHW』はゲームの可能性に大胆に挑む、勇敢な作品」と格付けしている。

(画像はIGNのスクリーンショット)

 歴代シリーズの最優秀作かどうかという議論はさておき、本作はシリーズの真髄につけ加えた理想的なビジュアル、ゲーム性と規模で飛躍的な進化を見せている。

 

 シリーズで定番の戦闘の循環、モンスターの脅威と武器などの改造システムが忠実に受け継がれ、ファンにはたまらない一作になっている。

 しかし、「ゲームの奥行きの深さを体験するには、相当の没入感を要する。ライト層はついていけないだろう」という見解も。

アメリカ「GAMESPOT」の評価は「8」

(画像はGameSpotのスクリーンショット)

 「IGN」のレビューとは対照的に、「GAMESPOT」は冷静な感想で絶賛の波に乗りきっていない模様だ。

 アメリカのみならず全世界で認知度の高いこのゲームメディアは今回、『MHW』は良作と認めながら、「10点満点中8点」というレアな記事を公開している。細かいところにこだわり、厳しいレビューである。だが、文中には『MHW』の素晴らしさをはっきりと伝えている。

 評価すべき要素として並べているのが、1人用のゲームプレイに基づく魅了的なストーリー性、チュートリアルが初級者を意識していること、そして歴代『モンハン』にある“容赦ない人工知能”の進化だ。
 「今回のAIが生み出す絶体絶命の状況は、今まで味わえなかった」という点から絶賛している。

 マイナス点として挙げていることは、レベルデザインにかかわる“マップのパスファインディング(経路探索)の機能”に不具合が見受けられること。
 また、「マルチプレイについては、構成を理解しやすいが、他のユーザーとマッチングするのが意外と複雑だ」と指摘。
 ほかには「キャラを強化した段階で、『MHW』はマニア層向けのコンテンツになってしまう」ことが述べられている。

(画像はモンスターハンター:ワールド 公式サイトより)

 日本で発売された翌日(1月27日)時点で、「Metascore」の各ゲームメディアから集計されている総合点数は上がっている一方だ。およそ50の記事の中で100点満点のレビューも目につく。
 特に、世界中のユーザーから信頼されている「GamesRadar+」(全世界で認められている「EDGE Magazine」の親会社)から、『MHW』は5点満点の最高の評価を得られたという実績は大きいだろう。

 「シリーズの最高峰で、現代のゲーム機が世に送った最も優れているゲームの1作である。誰もが魅力を感じるゲームに昇華したのだ。これまで、限定されたユーザーのみ堪能できた『モンハン』の咆哮が、この『MHW』でやっと全世界のユーザーに轟くだろう」(「GamesRadar+」のレビューより)。

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取材・文
ガルシア・ルイス
フリーライター・ フリー翻訳者として10年以上の経験を持つ、ゲームマニアなスペイン人。2013年、開発・ローカライズを業務とするスタジオ「Shinyuden」を立ち上げ、海外にゲームをリリースしたい日本企業と積極的に協力し活動中。
 翻訳者としての代表作は『ファイナルファンタジーVI』、『ファイナルファンタジーXIII』、『ファイナルファンタジー零式』、『ファイナルファンタジーXV』、『イナズマイレブン』、『勇者30』など。ゲームコレクター魂も尋常ではないようだ。
Twitter:@ahgueo
「電撃セガサターン」、「電撃PS2」、「電撃オンライン」、「電撃レイヤーズ」、「iモードで遊ぼう!」、「mobileASCII」、「デンゲキバズーカ!!」と数々の媒体を渡り歩いて来た40代ファミコン世代の編集者。好きなハードは「ファミコンバージョンのゲームボーイミクロ」。
Twitter:@nkjdfng
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